「死闘の本土上空」

池袋駅の構内に古本屋が何故かあったので寄りました。
帰りの電車の中で読む為に適当に本を物色。
太平洋戦争末期の日本の防空戦を取材した「死闘の本土上空」を
買いました。作者渡辺洋二。この人の本は
統計を分かりやすく説明してくれるので読みやすいです。


印象に残ったのは「高高度精密爆撃」を主張するハンセル准将と
「無差別焼夷弾攻撃」を主張するルメイ少将の二人の将軍の話。
「高高度精密爆撃」は高高度から敵国の軍事施設のみを狙う爆撃法で
民間人への被害は少ない。
後者は焼夷弾を用いて敵国の市街地を狙う爆撃法。
これは、中小企業が市街地に多く存在する日本にとっては一番有効な手段です。
民間人に被害を出したくないがために「高高度精密爆撃」に固執
結局は更迭されるハンセル准将と、後世の非難を受けるのは承知の上で
東京大空襲」等の無差別爆撃に踏み切ったルメイ少将の心の葛藤が
非常に興味深いです。
(ルメイ少将の心の動きは作中では表現されてはいないけれど、
彼がまともな想像力を持つ人間ならば、無差別爆撃をすることに対して葛藤をすることは
十分にありえるとではないか。戦後彼に対して痛烈な批判が向けられているけれど、
むしろ批判すべきなのは彼を無差別爆撃をするように仕向けた、米軍戦略爆撃兵団の上層部だと思う。)